病院の選び方と治療法

病院の選び方

病院を選ぶ基準は?

 病院の大小や有名Drだけが、選択の基準ではありません。

 身体障害者手帳を取得するには、認定医の診断(かかり付けの医師である必要はありませんし、居住地以外の病院でも構いません。)が必要ですし、身体障害者に適用される更生医療等を使いたい場合には、更生医療が適用できる病院を選んでください。(福祉事務所などに病院や認定医のリストがあります)

 病院を選ぶのには、実際に治療された方から話を聞くのが一番なんですが、そんな機会もなかなかないと思うので、自分で確かめるしかないですよね。

 病気の進行状態にもよりますが、最初から手術を勧めるとか、保存療法にあまり力を入れない病院もあると思います。どんな治療法を選ぶかを決めるのは自分ですので、十分な説明と自分の希望に沿った治療を行ってくれる病院を選ぶことが大切だと思います。

 この先、長い付き合いになるDrですので、体のことやこの先の暮らしのことの相談に乗ってくれるような、信頼できるDrに診てもらえるのが大切ではないかと思います。

 (ま、理想ですが・・・(^^;)

複数の病院を受診しても良いのか?

 まずは自分の身体の状態を正しく把握する事が大切です。

 医師によっては、『股関節の形が普通の人より悪い』という程度の説明しかぜず、定期的なレントゲンと痛み止めの処方で済ませる場合もあります。

 また、医師によって診断が異なる場合がありますので、病状によっては手術不要で、リハビリを勧めるDrもいますし、症状が進んだ場合には、人工股関節置換と判断されるか、自骨手術がぎりぎり可能と判断される場合もあります。

 この先は長い治療になりますので、Drを選ぶための面接だと思って、いくつかの病院で Drの診断や説明を十分に聞いて、既に解かっていることであっても、何でも質問してみてください。

家の近くの病院が良いのか?

 手術の際には、家族に来てもらうことが多くなるので、家族の負担にならない程度の距離にある病院の方が良いと思いますが、それ以外のばあいは、自分で通院可能な距離であれば良いのではないかと思います。

 また、普段は近所の病院で診てもらい、手術などは大きな病院でということが出来る場合もあります。

検査と診断

病院ではどんな検査を受けるのか

 初診時は、問診とレントゲン写真を撮ります。

 あとは、可動域のチェックや痛みの状態など。

いま股関節に何が起きているのか

 痛みと病気の進行度は比例するものではありませんから、定期的に写真を撮って自分の股関節の状態を把握するようにしてください。

 痛み方にも個人差があり、ごく初期から痛みが出る方や、後期や末期に近づいてから痛みが出る方もいますので、股関節に痛みを感じていていも、仕事や子育てなどで痛みを我慢して、長いあいだ病院に行かないうちに、自骨手術可能な時期を逃がしてしまう場合もあります。

 病状が進行した場合、軟骨が無くなり骨と骨が擦れあって摩滅する末期まで進みますし、その間に脚の動きもどんどん悪くってしまうので、きちんとした治療(対処)をすることで、股関節の寿命を延ばすことができます。

治療方法の選択

治療方法を選ぶのはあなたです

 治療方法といっても、正常な股関節に戻ることはありませんし、自骨手術をした場合でも悪化する時期を、今よりも遠くに延ばす効果しかない場合もあります。

 他に有効な方法しては、脚の負担になる仕事を減らしたり、ダイエットと筋トレをう、杖を使って歩くなどの方法で、股関節への負担を減らし、股関節(軟骨)の寿命を延ばすことを考える必要があります。

 

 ・ダイエット

  体重を落とすことで、股関節への負担を減らします。

歩く時に股関節にかかる重さは、体重の3倍と言われていますから、負担を減らす方法の一つとして、ダイエットも効果があります。

 ・鎮痛剤

  股関節の痛みが軽減するので、生活能力も上がります。

身体にあった薬を見つけるまでに、何種類かの薬を服用して試すことになるかもしれないので、時間が掛かる場合もあります。

 ・保存療法

リハビリ(筋トレ)を行う事で、股関節の周囲の筋肉を鍛えて、股関節をまもるためのサポーターを作り上げることで、股関節にかかる負担を減らす事ができます。

 ・自骨手術

股関節を形成する骨を手術によって再形成し、骨頭との接触面積を増やし、荷重負担に堪えられる股関節を作ります。

  この手術は、軟骨がある程度あるうちに行う事で効果があります。

 ・人工股関節置換

  軟骨がなくなってくると、この方法しかありません。

  人工股関節には寿命があるので、将来は再置換する必要があります。

不可欠な筋力トレーニング

 股関節をサポートする筋力を維持することで、股関節への負担を減らすことが出来て、痛みの改善も行えますから、日常の活動能力もアップすると思います。

 手術を行った場合、筋力が低下してしまっているので、暫くの間は不可欠なトレーニングになります。

杖の話

 杖を使うことには抵抗があると思いますが、杖を使うことで股関節への負担を 20-30% 程度減らすことが可能です。(ダイエットしてもこれだけ減らすのは簡単じゃないですよね。)

 最近では、色んな柄のおしゃれなステッキが販売されていますので、お気に入りのステッキを使って、素敵に歩いてみませんか。

鎮痛剤について

薬は合っていますか

 鎮痛剤は長期間服用することになる場合もありますので、診察の時には、薬の効き目や胃腸の負担(痛み)などをきちんと伝えてください。

 最悪の場合、効き目も無くて胃腸を荒らすだけの薬にしかならない場合もあるので、服用を中止して下さい。

どんな薬があるのか

 鎮痛作用の強いものや弱いもの、胃腸への負担が重いものもあり、飲み薬よりも、座薬が効果がある場合もあるので、うまく使い分けてください。

 場合によっては、湿布やぬりぐすりでも効果がある場合もあるので、試して見てください。

 処方される鎮痛剤は、頭痛や歯痛など他の部分の痛み止めにも利用されている薬が殆どですので、効果が無い場合には他の薬に切り替えてみましょう。

生活を改善する鎮痛剤

 痛みを軽減することで日常の生活が楽になりますし、精神的にも楽になったりと、良い面が沢山あります。でも、股関節の状態は変わりないので、無理はしないでくださいね。

保存療法

筋力を高めて、股関節の負担を減らし、寿命を伸ばすのが保存療法の目的です。

 股関節症になったからといっても、すべての人が手術の対象ではありませんし、股関節の形状が良い場合など、軽度の場合にはトレーニングを継続することで、手術が不要な方もいます。

 股関節を使わない暮らしをすれば、それなりに寿命を保つことが出来るようですが、何もしないで暮らすよりは、ある程度の運動を行っているほうが軟骨がしっかりとしているらしいです。

 トレーニングをすると、筋肉が強化されて痛みが改善したり、可動域が広がるなどの運動能力も改善し、筋肉からの刺激により骨も強化もされていくので、丈夫な骨を作ることが出来るので、骨粗鬆症などの予防にもなります。

 標準体重よりも重い方は、ダイエットに努めることも肝心です。

自骨手術

 自骨手術は、長期間寝たきりになるのと、その後は筋力低下したところからリハビリが始まるので、ある程度の忍耐力と精神力も必要かもしれません。

 病院や術式、股関節の状態にもよりますが、手術後、2〜5週は床上生活になり、その後、3〜10週間前後のリハビリを行って退院になります。

 仕事に戻れるのは手術後4ヶ月くらいで、松葉杖が外せるのは、長くて手術後半年程度になります。

どんな手術方法があるのか

 多くは、股関節の受け皿(臼蓋)がある骨(腸骨)を切って受け皿を改造する、骨切り術と呼ばれる方法で行われますが、骨頭や股関節の状態によっては、接触面の改善や荷重位置を変化させる目的で、大腿骨側にも改造を加えたり、周囲の筋肉を切断する場合もあります。

 主な自骨手術の方法は

 ・臼蓋形成術(キアリ術/臼蓋回転術)

 ・大腿骨頭回転術

 などがあります。

手術の適期

 自骨手術の前提条件としては、軟骨がある程度残っていることが重要です。

 軟骨が減り過ぎてしまっている場合には、手術を行っても痛みや生活能力の改善効果が少ないので、行われることはありせん。

 長年の間、股関節の痛みを抱えたまま、通院することも無く末期近くまで症状が進んでしまい、病院に行ったときには、陣股関節置換しか出来ない状態まで進んでいることもありますので、定期的にレントゲン写真を撮って、手術の適期を逃がさないようにして下さい。

手術で完璧な股関節になるのか

 股関節の状態にもよりますが、術式によっては数年程度で以前のように問題なく仕事が出来るまでに治る方もいますが、なかなかそこまで治らない場合もあり、術後の結果については一概に言えませんが、早期の手術の方が良い結果が出ているようです。

 また、手術を受けて以前の身体に戻るという保証はありません。股関節の状態を改善して、いまの状態を改善するのが目的ですから、「進行を先に延ばす」という考えで受けてください。

 どこまで状態が改善できるかは、人それぞれに異なります。術後の股関節の状態やリハビリ(筋トレ)努力によっても変化しますので、リハビリ努力も大切です。

人工股関節

 自骨手術と違って入院期間も短く、社会復帰も早い手術ですが、再置換が必要になります。

 入院は、最短で4〜5週間。数ヶ月で松葉杖も外せると思います。

痛みから開放

 人工股関節に置換することで、長年の痛みの原因になっていた股関節が人工になるので、股関節の痛みが消えます。

気になる脚の長さ

 手術後、左右の脚の長さが変化してしまう場合があります。

運動制限

 人工股関節には、特定の方向に動かしすぎると脱臼する(かなり痛いらしい)という弱さがあり、一度外れると癖になるとも言われていますので、実生活では若干の注意が必要です。

人工股関節の寿命

 人工股関節の設計寿命は20年といわれていますが、人工物ですから、生まれ持った生体と違って部品に寿命があり、構成する金属やセラミックと骨の親和性との問題がでたりする場合もあり、思った以上に早く再置換することになる場合もあります。

 再置換までの時間には個人差があり、早ければ数年〜10年以上になっています。

 手術に耐える体と、良好な状態の骨や筋肉があれば、基本的には何度でも入れ替えることが出来ます。

手術は必要なのか

各種の負担

 手術するということは長期の入院やリハビリ期間が必要になりますから、そのためには、職場との関係や家族の手助け、そして経済的な負担も発生します。

 また、自分自身には良好な脚の状態を保つための努力(トレーニング)が必要でしょう。

手術のリスク

 股関節が悪くても命に関わる病気ではありませんが、状態をよくするために行う手術には、命に関わる危険性を持ってしまう場合もあります。

 股関節の手術は細心の注意を持って行われていますが、100%の方が安全に終わっているというわけではなく、一部には、不幸にして予測し得ない問題を抱えてしまう方がいるのも事実です。

 ・動脈損傷などの手術中の医療ミス

 ・人工関節置換時に使用することがある、骨セメントの副作用

 ・手術部位やその他の部分の細菌感染

 ・手術の影響などによる、脚のしびれや痛みなどの不快感

 ・血液の凝固物が血管につまる血栓症

 ・その他、医薬品の副作用や入院中の医療ミス

 など、一部はどんな手術においても危険性があると言えるものですが、いずれにしても、手術には予測し得ない事が起きる可能性を持ったものであることを承知してください。

 ・・・と、危険性を幾つも書きましたが、手術は怖いものでもありませんし、急ぐ必要もないかもしれません。じっくりと自分の気持ちを整理して手術に挑んでください。

手術はトレーニングと一体

 多くの方は手術をすることで症状を改善し、現在よりも良好な生活を送ることが出来るようになると思います。手術された方の中には、リハビリだけで日常生活に戻れる方もいますし、日々のトレーニングを行いながら、時間をかけて日常生活に戻れる方もいますから、術後の経過もさまざまです。

 いすれにしても、トレーニングをしたほうが良い状態を保つことにつながるので、可能であれば退院後の適当な時期からは、プール等に通う時間を持つようにすると良いと思います。